セールスするなら知っておきたい『マズローの欲求五段階説』

「お客さんが求めていることってなんだろう……?」「なぜ欲しいと思ったんだろう……?」「どんな商品やサービスを必要としているだろう……?」きっとあなたもこんな疑問をもったこともあるでしょう。これが分れば、どんな商品をどんなアプローチで売ればいいかが分りますし、お客さんにも感謝されるでしょう。なので、知りたいと思うのは当然です。
お客さんに直接聞いてもいいのですが、実はお客さん自身、悩みや理想の奥深くにある本当の欲求には気付いていないものなのです。ですので、心理学的に人間の欲求はどのように分類されているのかを把握し、コピーを書く時にお客さん自身が抱える欲求に訴求できるようにしたいと思います。

マズローの欲求五段階説

まずは最もポピュラーだと思われる、マズローの欲求五段階説について把握しておきましょう。人間が持つ欲求については諸説あります。大きく 2 つに分けることもあれば、27 個や 28 個に分類している方もいらっしゃいます。マズローの欲求五段階説(欲求段階説)は特に有名です。
マズローの欲求五段階説右の図を見てください。
人間の欲求は大きく 5 つに分けられ、一番下位の生物的な欲求から、上に行くほどより人間的な高次の欲求になるというモデルです。そして、下位の欲求を満たさなければ、上の欲求を求めることはないとし、人間はより高次な欲求を求める生き物であるとした説です。
例えば、3 段目の親和欲求がある人は、その下の安全の欲求と生存の欲求は満たされているということです。
それぞれの欲求についても簡単に説明しておきます。

生理的欲求

食欲・睡眠欲・性欲・闘争欲求など、生理的な欲求や原始的な欲求のことです。一般的に日本に住んでいれば食欲・睡眠欲は満たされている場合が多いと思いますので、ここはあまりビジネスに転用できる欲求ではありません。性欲や闘争欲求は、色々なビジネスで利用されていますね。

安全の欲求

これは身の安全、経済的安定、健康維持、現状の維持などの欲求です。今の職場は嫌だけど仕事を変えるも嫌だから転職はしない。暴力を振るう彼氏は嫌だけど、独りになるのも嫌で別れられない。安定した収入が欲しい。などのような行動の根底にある欲求です。
特に安定に関する欲求は根強いものがあるので、仕事で安定した地位を得るため、または保つための各種サービス(就活・スキルアップ・資格取得など)、結婚して安定するための各種サービス(婚活・相談所)、人生を安定したものにするためのスキルアップ・もうけ話・健康・恋愛・人間関係改善などの商品・サービス販売につながります。

所属と愛の欲求

これは人とつながりたいという欲求や、愛を感じたいという欲求のことです。この欲求をターゲットにした商品・サービスは、例えば Facebook や Twitter 、LINE などのソーシャルメディア、アメブロなどのブログサービス、オンラインゲームなどのネット上のサービス。その他、クラブやバー、異業種交流会など、人との出会い、つながるための『場』を提供するサービス、結婚・恋愛に関する悩み相談、それに付随する商品などです。
人間の持つ欲求の中でも求める人が多い分、多くの商品・サービスがあります。

承認欲求

これは人から認めてもらいたい、自分の価値を分かってもらいたい、自分は特別な存在だと思ってもらいたい、または社会的な称讃を得たい、そんな欲求のことです。自己重要感の欲求とも言います。『人を動かす』、『道は開ける』などの本で有名なデール・カーネギーも、著書『人を動かす』の中でこう言っています。

人間は例外なく、他人から評価を受けたいと強く望んでいる。人間の持つもっとも根強い衝動は、重要人物たらんとする欲求だ。

親や上司、彼氏彼女、社会や一定のコミュニティから認められるために、人は殺人すら起こします。それほどまでに認めてもらうことに飢えていると言えますし、強力な購買意欲になるというわけです。また、承認には、自分で自分を承認するため、というのもあります。一言で言うと自信ですね。
人に認めてもらうために、どのような購買行動を起こすと思いますか? 自分を認めるために、どのような購買行動を起こすでしょうか? 例えばモノで着飾るというのはその 1 つです。高級な服やアクセサリー、車や家など、承認されることと強く結びついた商品はたくさんありますよね。

自己実現の欲求

これはその名の通り、自分の能力を最大限に発揮し、自分の目指す理想の自分になりたいという欲求のことです。マズローの説では、この欲求はいちばん高次な欲求であるとされています(後に、このさらに上の欲求としてコミュニティ発展欲求というのがあると言われています)。
ここにフォーカスした商品やサービスは、塾や通信講座、教材・書籍などがあります。成長していくことには限度がありません。よりスキルアップをすると、さらに上を目指したくなるのがこの自己実現の欲求です。
以上マズローの欲求五段階説です。

欲求五段階説はあくまでも “説” である

ビジネスの世界では、なぜかこれが絶対的な人間の法則であるかのように語られているのを目にします。でも、これはあくまでも説ですから。批判的な意見もありますし、ぼくも正直懐疑的です。
ただ、これら 5 つの欲求は誰しも持っているだろうということは、まぁ間違いないと思います。それらに 5 つの段階があるのか? 下位の欲求を満たさなければ上位の欲求を求めることはないのか? それは分かりません。でもそこはあまり重要ではなく、何が購買を決める要因になったのだろうかと考えるフォーマットとして知っておけば、十分セールスに活用できるはずです。
それに、自分の購買行動が(購買以外の行動も)、どんな欲求に基づいているのか、を考える手助けをしてくれます。これをすることで、お客さんとしての立場で考えることができるようになるので、自分を見つめる手段として使うのもオススメです。ぜひ活用してみてください。


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コメント

“セールスするなら知っておきたい『マズローの欲求五段階説』” への1件のコメント

  1. まったのアバター

    マズローの欲求5段階説はあくまで説である、ということに少し安堵を貰いました。
    というのも、ぼくもこの3年ほど会社をつくるという夢(自己実現)に向けて奔走してきたにも関わらず、別れた昔の彼女以来、一切女性との恋愛が無かったからです。
    低次の欲求が満たされていないのに、そこを飛び越えて一番上だけを目指しても、果たして人間としての成功は得られるのだろうか。そう悩んでおりました。
    実はぼくも、2年ほど営業の経験をしたのち、今はWebサービスやアプリケーションを作りたくてプログラマーを目指しつつ、管理者さんと同じくブログなどで情報発信をしています。
    カーネギーなどの所謂ビジネス書の名著などもよく読んでいます。
    そういった点で、似た匂い、志を感じたのでコメントさせて貰いました。

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