個人的なことかもしれませんが……ぼくの周りでも WordPress 熱が加速しているように感じます。
例えばこんなデータもありました。
> CMSの利用データ
これによると、CMS のウェブサイトとしての利用率は WordPress がトップです。全てのウェブサイトにおけるシェアは17.5%、CMS におけるシェアは54.7%だそうで。(いつのデータなのかは分かりませんでしたが、すごいシェアですね!)
なんだかアメブロが削除されたという話も頻繁に聞くようになりましたし、自由に運営できて広告表示もなく、しかも無料で使える WordPress をビジネスに使おうという流れは、まぁ自然なのかもしれません。
でも、WordPress をビジネスに使うと言っても具体的にどう使っていけばいいのでしょうか? そのためには、WordPress でどんなことができるのかを知っておいた方がいいでしょう。
WordPress投稿の活用
何ができるのか把握しておけば、アイデアや発想も広がります。他社のサイトを見て取り入れてみたいと思ったことを、どうすれば実装できるのか予想を立てることもできます。最終的には「何でもできるのでは?」という錯覚に陥ります(笑)
WordPress には、コンテンツを作成する手段が大きく 2 通りあります。ひとつは「投稿」。もうひとつは「固定ページ」です。
まずは、WordPress の基本機能である「投稿」についてです。
ブログ記事の投稿こそサイト運営の要
最も頻繁に使用する機能でしょう。かつ WordPress = ブログと思われているふしもあるので、最も認知されている機能だと思います。
WordPress の「投稿」というのは、要するにブログのように時系列にそってコンテンツを作成する機能です。WordPress では「post」と表現されています。この「投稿」機能が重要である(=コンテンツ作成が重要である)理由は以下の通りです。
お客視点)親近感が増す・透明性が高まる
ザイアンス効果(またはザイアンスの法則)というものがあります。この法則は「見ず知らずの人・物に対しては、接触頻度が多くなる程親近感を抱く」というものです。接触時間より接触頻度と言われていて、営業の世界でもこの法則に則った手法が使われていますよね(用がなくても会いに行け、みたいな)。
ブログをはじめとしたソーシャルメディアやウェブ上のツールの多くは、顧客との接触頻度を高めるためにとても有効に使えます。何よりコストがかかりません。リアルな場では、会いに行くか手紙を送るかしなければならないわけですが、ネットなら1度の作業で一斉に多くの人に接触できます。そういう点で、ブログを更新し続けるというのはとても重要な作業です。
ただし! 何でもかんでもアップすればいいというわけではありません。趣味でブログを扱うなら好きに投稿して構いませんが、ビジネスで使うのなら以下のポイントに注意しましょう。
- 見込み客・顧客が知りたい内容であること(自社が言いたいことではない!)
- オリジナルコンテンツであること(転載・引用などとの割合の問題)
- 目的(集客やセールス)達成のためのコンテンツであること
本当はもっと詳しく説明したいのですが、今回の記事の本題からそれてしまうので、また別の機会にします。
SEO視点)検索流入の可能性が広がる
WordPress での記事投稿は、トラフィック(アクセス)を呼び込むのに効果的です。SEO でよく言われるアクセスアップの重要項目の1つに「更新頻度」というものがあります。サイトとして新しいコンテンツが常に追加されていった方が、トラフィック(アクセス)が増えやすいというわけです。
コンテンツを追加すれば更新情報が送信されますし、検索エンジンクローラー(ロボット/スパイダー)が自分のサイトを訪問してくれる可能性も広がります。また、キーワードが増え、ユーザーの多種多様な検索に網を張って行くこともできます。ロングテールという戦略ですね。
1 つのキーワードで 10,000 アクセス集めるのではなく、100 個のキーワードでそれぞれ 100 アクセスずつ集めようよ、という考え方です。
このロングテール戦略に基づいてアクセスを集めるには、やはりコンテンツの量は重要です。サイトのテーマに関連する細かいキーワードを幅広く拾えるように、コンテンツを整えて行く必要があります。そのために、WordPress の「投稿」でコンテンツを増やして行くのが効果的というわけです。
ただし、コンテンツの質も重要なので要注意。闇雲に質の悪い記事を量産するだけでは、スパム扱いになってしまうかもしれません……。
ビジネスモデル視点)コンテンツが増える
コンテンツは再利用してなんぼです。コンテンツをつくればコンテンツが増えるのは当たり前ですが、メリットはそれだけではありません。ポイントはリサイクルです。
例えば、雑誌に連載されている小説は最終的に書籍としてまとめられ発行されます。されに文庫本として発行されるなど、1つのコンテンツからいくつもの商品に展開していきます。
マンガもそうですよね。週刊誌や月刊誌で連載されたものが単行本として発行されます。さらに同一エピソードであっても映画化して別の商品として価値を持たせることもできます。
テレビドラマもノベライズ化されたり DVD 化(今ならブルーレイですか?)されたり、コンテンツは再利用され色んな形の商品になります。そうやってコンテンツの形を変えて、キャッシュポイントを増やしていくわけですね。
ブログのコンテンツも同様に考えていきましょう。ある程度記事が貯まっていったら、電子書籍にまとめてもいいでしょう。PDF やスライドショーにまとめてウェブ上に公開してもいいでしょう。紙媒体の書籍として発行することもできますし、メルマガやニュースレターとして配信することも、有料コンテンツに昇華して販売することもできます。
せっかく時間をかけて作るコンテンツです。長期的に活用して行けるように計画・見通しを立ててみましょう。他にも色んなアイデア、再利用方法が思いつくはずです。
WordPress の固定ページとは?
WordPress のもう 1 つの記事作成方法が「固定ページ」の活用です。使い方や「投稿」との使い分けについて説明していきます。また、ビジネスで必要となるランディングページやオプトインページなどの「プレゼンページ」の役割についても説明していきます。
固定ページとは、投稿とは違い時系列にそったコンテンツではありません。そして、階層関係を持ったページを作成することができます。例えば、「会社概要」というページを作成し、さらに「代表挨拶」や「沿革」などのページを作成し、「会社概要」の下の階層に位置づけることができます。
- 会社概要(親ページ)
- 代表挨拶(子ページ)
- 沿革(子ページ)
このような、時系列とは関係のないページを作成するために使うのが固定ページです。そのため、日付は割り振られませんし、カテゴリーやタグ付けなどは基本的にできません。
また、WordPress のメニューに個別に組み込むことができるのも「固定ページ」の特徴です。グローバルメニュー(ナビゲーションメニュー)に表示させたいコンテンツは、「固定ページ」としてつくりましょう。
もちろん、「投稿」と「固定ページ」の使い分けに正解はありません。が、一応イメージとしては「投稿」はブログをつくるためのもの、「固定ページ」はウェブサイトをつくるためのものという感じでしょうか。WordPress では「page」と表現されています。
「投稿」と「固定ページ」の使い分け
先ほどの言ったように正解はありません。好きに使い分けてもらって大丈夫です。ただ、ビジネスで集客やセールスに使いたいのであれば、以下のような使い方をオススメします。
「固定ページ」に向いているコンテンツとは?
ビジネスに使うなら、基本的に集客やセールスに直接的に関わるようなページは「固定ページ」で作った方がいいでしょう。例えば…
- トップページ
- 商品・サービスの説明ページ
- About・このサイトについて・会社概要などの自己紹介ページ
- お問い合わせ
- 特定商取引法や個人情報保護方針などの必須ページ
この辺りは説明不要だと思います。他にも以下のようなコンテンツは「固定ページ」で作った方がいいと思います。
- よくある質問
- お客様の声
- 実績紹介
- 投稿コンテンツへの中継ページ(ハブページ)
「投稿コンテンツへの中継ページ」について説明します。
例えば、お客さんからもらった「質問」を1つのコンテンツとして作成する場合は、「投稿」の方が適しているかもしれません。そして、「固定ページ」では、それら “質問への回答をコンテンツ化した「投稿」” へのリンクを目次として掲載するイメージです。これが、4つ目に挙げている「投稿コンテンツへの中継ページ」としての使い方の一例です。
お客様の声や実績紹介も、後々追加が予想されるコンテンツですので、同じような使い方をしてもいいでしょう。あるカテゴリーの投稿一覧を「固定ページ」にまとめるなどの使い方もできますね。
ただ、「投稿」の内容があまりに薄いと別途分ける意味がありません。例えばよくある質問の回答が4〜5行で終わってしまう、そういう場合は中継ページを設けずに1ページに複数の質問と回答を載せた方が賢明です。
「固定ページ」はメニューに追加できる
もうひとつ、「固定ページ」の使い方の基準として、メニューに追加できることが挙げられます。しかもページごとに個別に追加できるのです。「投稿」だとカテゴリーとしてひとまとめにしか追加できませんので、グローバルメニュー(ナビゲーションメニュー)や、サイドバーメニューに表示させたいコンテンツは「固定ページ」で作る方がいいでしょう。
ではどのようなコンテンツをナビゲーションメニューやサイドバーメニューに表示させたらいいのでしょうか? それこそまさに、先ほど挙げた「実績紹介」や「商品・サービスのページ」などのコンテンツです。
「投稿」に向いているコンテンツとは?
「投稿」の役割は時系列でのコンテンツ作成です。そのため、ブログの様な日々の出来事を綴っていくのに適しています。
とはいえ、ビジネスで WordPress を使うなら、日常のどうでもいいことを綴ってはいけません。ちゃんと見込み客にとって役に立つことを提供していくべきです。
何が見込み客にとって役立つのか、ということは調べてみないと分かりません。これに関してはマーケットによって異なるので、実際にインタビューしたりアンケートを取ったり、本や雑誌で調べるなどしてみましょう。
また、検索からのアクセスを期待するには、検索キーワードや検索ユーザーの知りたい情報にマッチしたコンテンツを用意する必要があります。Facebook や Twitter でシェアしてもらいやすいコンテンツを用意するのもありですね。
固定ページでランディングページを作成しよう
最後に、WordPress から集客したい、商品を売りたい、お店に予約を入れてほしい、と考えるなら、そのためのページが必要不可欠ですよね。結局のところ、日々コンテンツを追加するのもアクセスを集めるのも、ソーシャルメディアで話題にさせるのも、全てはこのページを見せるためにあるわけです。
これが全てです。そして、最後の目的の行動を取ってもらうために必要なものが、ランディングページです。
ランディングページとは?
ランディングページとは、その名の通り「着地」用のページです。
いろいろな言い方があって、広く使われている言葉としては、例えばメルマガ登録者を集めるための「オプトインページ」。サンプル請求などをしてもらうための「スクイーズページ」。商品を販売するための「セールスページ」なんていう呼び方もありますよね。
これらに共通することは、“見込み客にある1つの目的とする行動を取ってもらうこと” です。予約を入れてもらう、商品を注文してもらう、資料を請求してもらう、見積もりを依頼してもらう、etc……。
これらの目的を達成するために、必要なことをプレゼンテーション(説明・表現)する必要がありますよね? だからプレゼンページと言ってもいいかもしれません。
ランディングページはワンカラムが理想
このようなプレゼンテーション用のページは、「固定ページ」で作るのに適しています。そして、レイアウトはワンカラムがいいでしょう。
Twenty Eleven を使っているなら、固定ページの編集の際に「デフォルトテンプレート」を選ぶようにしてください。サイドバーは不要です。
なぜサイドバーが不要かというと、余計な情報を与えたくないからです。リアルなセールスと違い、お客さんがすぐに気軽に離脱できるのがネットです。ちょっとでも興味を失うか、他により興味を引くものがあれば、すぐにそのページから移動されてしまいます。それを防ぐためにも、移動される可能性を取り除くのです。
本当ならグローバルメニューも表示させたくないところですが、そうするにはちょっとしたテーマのカスタマイズが必要です。というわけで、技術的なことはまた別の機会に説明したいと思います。
コンテンツを中心としたサイト運営を
以上、「投稿」や「固定ページ」によるコンテンツ作成について簡単にまとめてみました。WordPress を始めとした「コンテンツ・マネージメント・システム(CMS)」は、コンテンツを簡単に作れることが大きな魅力です。
そして、マーケティングの世界では「 Content is King 」という言葉あるように、コンテンツがビジネスの成否を分けるといっても過言ではありません。質が高く、ユニークなコンテンツを持っていることでサイトの価値は高まります。
サイトの価値が高まれば検索エンジンからの流入やソーシャルメディア上での拡散を引き起こします。そして、アクセスが集まればお客さんになる可能性も高まります。
ただ、実は闇雲にアクセスを集めるだけではだめで、アクセスにも “質” があることを理解しておきましょう。つまりアクセスの質も意識したコンテンツ作成が必要になります。
また、最終的に見込み客獲得や顧客獲得に必要な知識や情報を与える「教育や」や、購入の障壁になっている不安や疑問の解消にもコンテンツが力を発揮します。
そして、いくらアクセスを集めても、そこから商品・サービスへ引き込まないといけません。そのためにはランディングページなどのプレゼンテーション型のページが必要になります。
それらも含め、WordPress ではまとめて管理することができるのでぜひ使いこなしてみてください。
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