ネットにこだわる必要はない。効率より効果を重視するポルシェのDMに見るマーケティングの秘訣

まず、こちらの動画を見てみてください。

これはポルシェのディーラーがカナダで行った、ダイレクトメールキャンペーンの様子を撮影した動画です。行っている内容を簡単にまとめますと、以下の 3 つのステップになります。

ポルシェのDMキャンペーンの内容

1.ポルシェを、見込み客の家の前に駐車し、写真を撮る

裕福な家庭が集まる住宅地において、見込み客の家の前にポルシェを駐車します。そして、家とポルシェがきれいに収まるように写真を撮影します。
これによって、ポルシェと家のツーショット写真が各家庭ごとに用意されます。

2.撮影した写真をもとに、その場でDMを作成する

撮影された写真を使用して、その場で DM を作成します。各家庭ごとにパーソナライズされた DM がすぐに出来上がるというわけです。

3.各家庭に応じたDMを配布する

作成した DM はその場でプリントアウトされ、各家庭に配布されます。各家庭には自分の家とポルシェが一緒になって写っている写真付きの DM が届くと言うわけです。この結果、 DM を受け取った家庭の実に 32% もの家庭から、ホームページ経由で試乗の予約があったそうです。
一体どれほどの家庭に配布したのか分りませんでしたが、たった二人のスタッフで行っていたので、それほど多くはないと思います。とはいえ、見ての通りたいしたコストはかかっていないようなので、1件でも成約に至れば十分利益が出るキャンペーンになったでしょう。
車が売れればその後顧客との付き合いも長くなるでしょうから、顧客生涯価値で考えると、とても費用対効果が高いと思われます。

ダイレクトメールを成功させた要因は何だと思いますか?

この DM には、こんなキャッチコピーが書かれていたようです。

It’s closer than you think.

つまり、「あなたが思っているよりも身近な存在ですよ」といった感じです。Call to action、つまり行動の呼びかけが書かれていたかどうか分かりませんが、結果的にはこの DM を見た見込み客はホームページに自らアクセスし、予約をするまでに至ったわけです。
この DM のポイントはいくつかあると思いますが、1 つは完全にパーソナライズされた DM だということでしょう。見込み客 1 人 1 人の自宅とポルシェを一緒にした写真を提示することで、ポルシェを手に入れた時の状況がまさにそのままイメージされることになります。
その写真は他の家庭ではなく、完全に自分だけのための写真なわけです。これほどまでに、パーソナライズされたプロモーションをやってのけた、このディーラーやスタッフの行動力には感心するしかありません。
インターネット上で成功するマーケティング活動のほとんど全ては、ダイレクトマーケティングが基礎になっていますが、この形こそがダイレクトマーケティングの行き着く先なのかななんて思います。

効率より効果を大事にしましょう、
とダン・ケネディがおっしゃっていました

もう 1 つ注目したいポイントは、今回のプロモーションがほぼインターネットを使わずに、はがきの DM で行われたということです(試乗の予約にネットを使用)。
インターネットを使うと確かにコストを抑えられ、手間が省け、効率がいいと思います。しかし効率を重視してばかりいると、効果を犠牲にしてしまうことになりかねません。
効率ではなく効果を重視するように強く言っている著名な人物として、ダン・ケネディが有名です。

DMなら高い成約率が見込める

ダイレクトメールを届ける
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かくいうぼくも、先日クライアントから依頼されダイレクトメールを作成しましたが、かなり成功したプロモーションになりました。
成約率は 30% とまではいきませんが、7% を超えていましたし、郵送代や印刷代を差し引いても、十分利益が残る内容でした。また、継続課金型のモデルだったので、顧客生涯価値に換算すると、今後どんどん利益が膨らんでいくでしょう。
そのクライアントさんも、サービス自体がネット上のサービスだったため、最初はインターネット上でのプロモーションを希望していましたが、より効果を重視した結果、コストや手間はかかりますがダイレクトメールを送ることにしました。
やはり紙の方がネット上の広告よりゆっくり読んでもらえますし、ポルシェほどではないにしろ、パーソナルな印象を持ってもらえるのが DM です。改めて DM の力を再確認した次第です。
効率を求めると、どうしてもインターネットを使ったマーケティングに偏ってしまいがちですが、見込み客の属性やメッセージの内容次第では、もっともっと泥臭い手法に目を向けてみてもいいのではないでしょうか?


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